インタビュー
 石丸雄司氏 石丸雄司
いしまる ゆうじ 
1935年東京生まれ
4代目銀座通連合会事務局長

イラスト
■銀座通連合会 創立 1919年(大正8年)銀座及び日本で最古の歴史を誇る。範囲は 銀座通1〜8丁目 1100mと、数寄屋橋〜三原橋 600mの商店・会社・百貨店 全店約245社。事業目的は銀座振興に関する必要なこと全て。清掃・治安・官庁折衝・催事・情報収集・環境整備 等々。
中央区銀座4-6-1 銀座三和ビル3階 tel.03-3561-0919 写真右手は大銀座まつりのポスター・ロゴマークは、銀座の印形文字を8牧の分銅が囲む形。分銅はかつて銀座役所で銀貨鋳造の折に使用されていたものを、銀座八丁に因み8牧で囲った。

 銀座といえばネオン、ネオンと銀座は切っても切れない関係ですが、その銀座のネオンが消されたのは、過去3回。戦時中とオイルショック時、そして今年の全ネの消灯パフォーマンスです。ネオンの変遷、消えた時のもろもろの事情をつぶさに記憶してこられたのが石丸雄司さんです。
 「銀座の役にたつことならなんでもやるところ」石丸さんは大銀座の裏方「銀座通連合会」の事務局長です。

─銀座のネオンの生き字引のような方とお聞きして、 白髪の長老を想像していましたが、 お若いのでエッと、思いましたが・・・。

 銀座に関わって約40年です。戦時中のことはほとんど先輩からの受けうりですよ。(笑)終戦直後の昭和20年11月にはいち早くバラックですが、もう街並みをつくっている。銀座復興の噂は、復員兵たちによってまたたくまに全国に広がったと聞いています。銀座はあの時代の希望の星だった。裸電球でしょうが、明かりにはそういう力があるんですね。屋上にネオンサインが点き始めると、あたかもネオンが『GOサイン』を出しているようでした。

 オイルショックの時は、私も昭和ネオンの高村さん(前全ネ協理事長)たちと通産省に陳情に行きました。ネオンを消すということは、省エネにもたいしてならない。エレベーターを1基止める方がよほど省エネになる。と、これはそのとき勉強したんですがね、それより気分消沈の代償のほうが高くつくってね。 

 日本ではネオンはともすれば景観の邪魔物扱いされてしまうんだけど、ただたんにヨーロッパにかぶれているだけなんだよね。これは持論ですが、ヨーロッパは王さまが造った都市で、明かりとコスト意識が根づいている夜の長い国なんだよね。ネオンイコールきたないじゃなくて、ビル街に必然性がある。アジアの特性を活かした景観があるはず。東洋の究極が銀座にある。それに、ネオンはある種の『散歩心理』を満足させてくれるんですよ。

─オイルショック時、ネオンが消されていく様子をずっと見ていらした?

 森永の地球儀のネオンが消えた時はいうに言われぬ憤りを感じましたね。当初、森永の広報室では『あのネオンは一森永のものではなく、国民のもの。当社の一存で消すことはできません』と、言っていたんですが、新聞が『何故消さないネオン』という特集をやってその、翌日から消されてしまった。戦時中の魔女狩りと同じだと思いました。寂寞感を感じましたね。結局、森永のネオンはオイルショック後一度も点かなかったんです。昭和48年の夏には解除になったけれど、それ以降銀座のネオンは全体的にクールというか、なにかとりすましたような感じにかわってきたように思います。

 長期間ネオンを消しているとネオン管も傷むので、再び点いたネオンも結局は付け替えることになったんじゃないですか。
 あの時たった一つ消えなかったネオンがあるんですよ。岡本理研のネオン。有楽町の駅のホームからよくみえた。あれはどういう訳だったんだろうと、今でも思いますよ。

─先日の30周年記念のネオン消灯パフォーマンスでは銀座通連合会の方々に大変お世話になり、ありがとうございました。

 一つのネオンサインに関係者が4つ、5つあるですよ。ビルのオーナーからビルの電気工事に関わった所まで含めると。陰ながら力添えできてよかった。
 私も皆さんと一緒に消灯の瞬間を見守りました。数分でしたが、再び点いたときはやっぱりいいなと改めて思いましたね。
 銀座の屋上のネオンサインは企業にとって一つのステータスですが、ネオンが持つ特性として、精神性も感じます。社会に与える影響は小さくない。たまさかネオンのない街に行ったら妙に寂しいですものね。猥雑であろうが、ネオンや袖看板はビル街の必然ですよ。

─好きなネオンはありますか?

 私自身はネオンの聞かせどころを楽しんでいる。色によって天気予報や公害気象など情報発信をしているネオンがあって、ああ明日は雨だなんて必ず見上げている。

●今年の第31回「大銀座まつり」は10月10日〜18日。
予算1億円のビッグイベント。16日の夕方から動くネオンといわれる「花自動車」が走ります。華やかな光のパレードです。

Back

トップページへ戻る

-----------------------------------

1998 Copyright (c) Japan Sign Association