特別記事

 

「ネオンとLEDの比較共同研究報告書(T・U)」のご紹介

  (社)全日本ネオン協会 技術委員会


 LED照明推進協議会(以後JLEDSと略す)と全日本ネオン協会との比較共同研究も2年度あしかけ3年にわたって実施してきたが、昨年11月にR・G・Bのカラ−の比較調査・分析が完了し報告書にまとめたことにより完了することができた。
 近年サイン業界にLEDが多く使用されるようになり、既存の光源との比較が問題とされることが多くなった。とりわけ屋外広告の代名詞であるネオンサインとの比較については、これまで公平かつ明確な比較デ−タがなく困っていたのが実情であった。
 今回このような比較研究報告が公にされたということは、サイン業界にとっても非常に重要であるものといえよう。とくにJLEDSとネオン協会が共同で行ったことに意義があり、そのデ−タの信頼性が高いものといえる。
 また、最も重要なことは、今回の共同研究でネオンサインもLEDと同じ省エネ光源の一つであることが検証されたことである。
 下記のグラフは、縦軸に平均輝度(cd/u)、横軸に消費電力(w)をとったもので、ネオンサインとLEDの平均輝度と消費電力をプロットしたものである(散布図)。消費電力が少なくて平均輝度が高いものが効率が良いということができる。従って、グラフに引いた斜線の角度が高いものほど効率が良いということになる。
消費電力-平均輝度 散布図(カラー+白色)
 この散布図を見てわかるように、白色とカラ−光源では白色の効率が高いことが見てとれる。また、白色の中でも白色LEDが最も効率が良くネオンサインED管(三波長型)がそれに次いでいる。また、カラ−光源では、緑色のネオンサインの蛍光管型(LG)がFD管なみの効率であり、ネオンの緑の着色管(CGLG)が緑LEDと同程度の効率である。次いで青色のネオンサインの蛍光管型(SB)がLEDよりも効率が良く、赤色ではLEDの方が大幅に効率が良いことが判明した。
  こうして見ると最も効率のよい白色LEDとネオンED管では、消費電力は20%程度しか違わず、同じ輝度で比較すると10%程度しか違わないことが分かる。
 また、視認性試験(人が見たときにどう感じるか)では、明るさと違和感のなさ、好感度をアンケ−ト方式で調査し、明るさと好感度そして違和感のなさの相関(正比例するのか反比例するのか)を調査した。
 その結果、色温度と輝度の関係では、白色で輝度が高くても色温度が高い(黄色みがかっている)と人の目には暗く感じることがあるという結果が出た。特に三波長タイプ(ネオンED管)は明るく感じるため視認性試験では輝度の高さ以上に明るく感じる結果となった。また、緑と青では輝度が高くなると(明るくなると)好感度も高くなり、違和感も少なくなる傾向がみられるが、赤色だけは明るさと好感度の高さ・違和感のなさが比例しない。言いかえると明るい方が却って好感度が下がり、違和感が増すという結果が出た。
 もちろんサンプル数が少ないので精度が高いとは言えないが、ある傾向は分かるのではないかと考える。
 全体的には、大型看板などで面を全体に光らせるような使い方にはネオンサインが適しており、小型になればなるほどLEDが適しているといえる。
 以上の通り、今回の調査で今まで疑問であったことや経験上は分かっていたが検証できていないことが色々分かってきた。ぜひ共同研究の報告書T(白色)とU(白色の追加試験とカラ−)を熟読いただければ、また新しい発見もあると考える。屋外広告は宣伝することが目的であり、見る人に印象付ける必要がある。今回の研究結果をもとに、それぞれの光源の性質と特徴を見極め、それぞれの長所を生かした使い方をしていただきたい。


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