リポート

SDA上海万博視察旅行(6/24〜29)に参加したお二人からリポートと写真をお寄せいただきました。
 
「中国パワーに未来の勢い」
関東甲信越支部 アオイネオン(株) 菅野栄一

 今回の万博視察で絶対に外せないのが中国館。朝一番ですでにもの凄い人。真夏でなくて本当に良かった。これからの季節は熱中症の対策は重要になると思います。暑さ対策のためか水分補給のためか中国の人々がキュウリを齧りながら列に並んでいる光景がどこのパビリオンでも多々見受けられました。
 結局列に並ぶにあたり恒例の横入りやガードマンとの押し問答のような光景は多少ありましたが意外にすんなりと入館。なるほど凄い!これが中国のパワー。ありがちな、ただのデカイ箱ではないことの感動。パビリオン内にはトロッコ列車が走り回り中国の歴史などを紹介。個人的には長い長い壁に映し出された、北宋時代の絵巻物、『清明上河図』のコーナーがすばらしく感じました。制作方法を頭に描き、壁に画像を映し出すためのプロジェクターの位置をキョロキョロ見まわして探しだすのは職業病かもしれません。
 一通り中国館を見終わり、ヨーロッパ〔欧州〕の国々のパビリオンがある地域に移動。広大な敷地、歩く・歩く・人・人…結局夕方までに入館できたのはノルウェー館、リトアニア館、エジプト館。各パビリオンとも日本語の表記が全くありませんでした。イギリス館では途中まで並んでおりましたが日本産業館での集合時間を考えるとタイムオーバーで断念。
 外観で目を引いたのはやはりイギリス館。建物の造りが非常に面白い。内部から建物の外に向かってグラスファイバーの棒のような物が無数にハリネズミのように出て、きっと夜間は先端が光り綺麗に違いないと勝手に想像し後ろ髪を引かれる思いでその場を後にしました。時計を気にしながら日本産業館がある地域に専用遊覧船で移動。
 日本産業館の印象はやはり日本、きめの細かい演出やディスプレイの映像などを体験、撮影禁止なのが残念ですが、しっかりと日本人の心に流れる清涼感、安心感、安らぎ感、うまく表現できているように感じられました。
 さて、外に出ると周りはすでに真っ暗、ここからは夕食でもパビリオン再見学でも各自自由行動との事。お腹は空きましたが、夜になり建物やサインにネオンやLEDの光が灯るとネオン屋の血が騒ぎます。すべてのパビリオンの夜間の表情を見たい衝動に駆られます。中でも圧巻は中国石油館、ものすごい力、建物全体が光のキャンパスのようで現在の中国パワーの象徴に思えます。
 近場のパビリオンの夜景は一応すべて撮影終了。心残りは先程途中で断念のイギリス館、見学をするには遊覧船でまた対岸に行かないと見ることができません。ここまで来て諦めるのはとの意見があり会場終了時間は夜の11時頃と確認し大移動を決定。遊覧から見えるLED調光のレインボーブリッジ「南浦大橋」や夜景に感動しつつ下船。イギリス館へ近づくにつれて期待から落胆へ。
 あくまでも外観の話ですが、見た目はただの黒いタワシか、大福(イギリスの関係者の方には申し訳ありません。パビリオン内部は素晴らしいです)写真上。
 残念ですが、私が喜ぶ外観上の照明効果を狙った演出は全くコンセプトに入ってないようでした。周りを見まわしても先ほどの中国石油館に見られたようなギラギラ感のある照明のパビリオンはありませんでした。想像ですがヨーロッパ各国は省エネやエコを優先しているのでしょうか。現在の地球単位エコの考えでは当たり前のことですが、少しだけ寂しい感じを覚えました。
 ここで今回の万博視察は一応終了。すでに11時近く、昼間の何十万人の人ごみは嘘のようにはけてガランとしたゲートをくぐり出てタクシーでホテルへ。
 国家としての中国のパワーと人々のパワー、これから先の未来への勢い、他の国の中国に対する期待などを十分に肌で感じられた一日でした。

 
「話題の上海万博でチャイナパワーを体感」
関東甲信越支部 (株)東京システック 小野利器

 今年5月の上海万博開幕から二カ月間の総入場者数が2000万人を超えたそうです。一日の入場者数は多い日で50万人に上るという話を直前に耳にしてはいましたが、そのピンとこない数字を入場前から実際に体感することとなりました。
 中国も梅雨に入り、我々SDA視察団一行が万博見学に訪れた日はあいにくの雨模様。それにも関わらず入場するのにゲート前で一時間待ち、更に会場内では中国各地から詰めかけた入場者が傘をさしながら行列を作っている状態でした。パビリオンやレストランにはほとんど進んでいないような長蛇の列が出来ていて、中には4、5時間待ちの人気パビリオンもあるほどの盛況ぶりでした。

中国館入り口 入場ゲートの前はセキュリティーチェックを受ける人で大行列です

 数あるパビリオンのうち、「中国館」と「日本館」は大人気と聞いていましたが「中国館」は旅行社を通じてあらかじめ時間予約されていたおかげで、一般よりも簡単に見学できたことは非常に幸運でありました。「中国館」の内容はまさに国力を示すに相応しい迫力を感じさせるものであり、かつての大阪万博のように国民に夢と希望を与えているような印象を受けました。
 「中国館」を出て仲間からはぐれてしまった私は、横殴りの雨に打たれ、長蛇の列を横に見ながら、ただ会場内をさまよい歩くことしか出来ず、足を棒にして涙目で過ごすことになってしまいました。情けなくも「帰りたい」と弱音を吐いてしまいましたが、見渡せば地元中国人は雨だろうが5時間待ちだろうが平気な顔で楽しんでいる様子に圧倒されました。
 夕方には、これもまた予約されていた「日本産業館」を並ぶことなく見学でき、SDA視察団一行はここで一旦解散となりました。ふと眺めると、いつしか雨は止み、会場を二分する黄浦江に架かる橋が虹色にライトアップされていました。たもとの各パビリオンも一斉に派手な照明演出を始めていて、会場内は昼間とは全く違った様子を見せていました。職業柄か、光の出現と共に急に興奮が高まり、再びメンバー数名と見学に繰り出しました。だいぶ人も減り、24時の閉館時間近くまでに三つのパビリオンを巡って長い一日が終了となりました。 
 世界一の人口を誇る中国は、とてつもない経済力を秘め、近代化に向かって突き進んでいる状況ですが、本物のチャイナパワーを体感するには、どの都市を巡るよりも今は上海万博を訪れるのが一番早い手段かもしれません。ここには今の中国を象徴する 「技術力」「経済力」「人間力」の全てが凝縮されているように感じられました。これから訪れる機会のある方は、是非肌で感じ取ってみて欲しいと思います。そして人気パビリオンを見学する際には、日本からの事前予約をお勧めします。

パビリオンの一つである石油館 昼間は青一色の外観が、夜になると壁一面が巨大映像装置に変わります


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