私のネオン屋稼業奮戦記

 Vol.107
諦めない!妥協しない!
2つの決心と覚悟でシーズを徹底探求した結果
     中国支部 )しみず工房 清水 激

清水  激さん  特殊技術について一言述べさせて頂きます。
  現在インターネットが普及し屋外広告の規制が強化されるなかで、看板業は斜陽産業化しているのも事実です。
  10年前に取引先のビルメンテナンスの会社が、太陽光発電パネルの販売事業を始めることになりました。そのとき、取引先の社長に言われたことが新事業の展開に繋がったのです。
  その社長さんが「あなたのところは看板屋さんだから、ビルの屋上(陸屋根)に太陽光発電パネルを設置するための架台を造ること出来るよね。」の一言が、看板屋としてのシーズを最大限に生かした上の、現事業の強みになったのです。
  当時、太陽光発電は日本の屋根の主流である「切り妻」「寄棟」「入母屋」など、屋根の南側向きの斜面を利用して設置するのが一般的でした。しかし、エコブームとなり自然エネルギーを求めるユーザーが増える中、マンションや、「陸屋根」「入母屋」「片流れ」等の平坦な屋根や、南向きに傾斜がない形状を持つお客様からの要望も増えてきたのです。
  そこで看板の経験が役に立ちました。看板設置は直接壁以外には看板を設置するための架台を造ります。その架台には十分にスペースがない場所や、賃借などで直接アンカーを打つことが出来ない場所での対応、また看板が風で飛ばされないような強風対策も十分に取らなければなりません。更に設置コストの値引きが厳しい事情もあります。納期が短いなどの厳しい要求に応えて来た事が、全てプラスになったと思います。
  太陽光発電といえば屋根の南向きの傾斜部分に設置するという一般的な常識を履し、どんな形状の屋根にも架台を設置することを可能にしました。
  3・11の東日本大震災以降、更に太陽光発電のニーズが高まっているところで、これからは看板業のシーズを生かして、強みに変えて他社に出来ないことを武器に変えることが事業の成長に繋がってくるのではないかと思っております。
  仕事の用途は違いますが次の父の原稿にもございますが、これからの長い人生に頭の切り替えも必要ではないでしょうか?


もっと頭を使え
 (株)しみず工房 清水忠務
  私の父親は、かつて某造船所へ40年間勤務した。その間幾つもの特許を取り、造船界に貢献した、と言うのがご自慢の一つであった。
  その昔、広島博の会場へモニュメントを設置したことがある。高さ10メートルの塔頂で直径6メートルの風車を廻す代物。我ながら見事な出来映えで数々の賞を総嘗めにした。
  ところが十日目、歯車のキーが切れ、止まってしまった。キーを太くしたが三日ともたない。
困り果て深夜親父に電話した。
  「おそらく軸ブレーキじゃろうが。ストップ時は5トンの力がかかる。大分筋を大ハンマーで落とし切りするのと同じ。同じ六分でもワイヤーなら直ぐに切れん筈じゃ。ステンレス製がええ」
  早速やってみた。一週間しても止まらない。親父に報告した。
  「わしなら羽根を空転させ、自然に停止させる。責任者ならもっと頭を使え」
  口惜しいが兜を脱いだ。今ならダイナパックという機械があるが、当時は何もなかった。
  50年も前の昔の苦労話である。

*これはしみず工房清水激社長の父上、前社長清水忠務様が書かれた原稿です。
  怪我で長い間療養され、一時は再起不能とまで言われましたが、ここまで回復されました。中国支部長として長く協会活動を支えてこられ、また広報誌NEOSvol.60号からvol.107号までの「点滅希」コーナーに洒脱な一文を寄稿して頂きました。
  さらなるご回復をお祈りいたします。



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