発信簿

 

長崎の夜景が「世界新三大夜景」決定

  関東甲信越北陸支部 C.I.


 この度一般社団法人夜景観光コンベンション・ビューローにおいて世界を代表する夜景として「世界新三大夜景」を新に認定し発表した。この認定は日本三大夜景の基準であった「港町の夜景であること」を踏襲しているが、これに加えて「魅力ある夜景が楽しめること」「夜景観光への取り組み」を評価の基準として新に設定している。その基準にそって「モナコ」「香港」「長崎」の三都市が世界を代表する夜景として選ばれた。
  日本三大夜景、世界三大夜景というブランドは、いつ誰が決めたものか、はっきりした記録はないが、1950年〜60年代にかけての日本の高度経済成長期に、旅行会社が商品造成の際に発信したのでは?と言われている。しかしそれから50年、日本はもちろん世界の夜景は大きく変わり、「三大夜景」というブランドも新たな時代へと入っている。そこで、現在において新たなる「世界三大夜景」を認定し、世界へ発信していこうと二年ほど前から委員会を設置しこの運びとなった。
  世界新三大夜景認定に向けチェックポイントは11項目ある。
(A)魅力ある夜景が楽しめること。
@対象となる都市を象徴する俯瞰的夜景が存在していること。
A鑑賞できる俯瞰的夜景に対してアプローチ可能な複数の視点場が存在していること。
Bこれらの視点場は対岸・対山等に分散し、それぞれが異なる表情を創出していること。
C視点場が整備され、安全性やバリアフリーが確保されていること。
D視点場へのアクセスが整備され、充実していること。
E対象となる都市において、夜間の観光的魅力を高める演出照明(ライトアップ)があること。
F複数の視点場において、夜間の鑑賞時間が比較的長く設定されていること。
G対象となる都市において、複数の夜景種類が混在し、鑑賞可能なこと。
(B)夜景観光への取り組み
@行政や地域団体、民間企業が夜景に対する観光的取り組みを行っていること。
A対象となる都市において、歴史的及び文化的夜間イベントがあること。
B国際的な観光への取り組みに積極性を持っていることなど、以上11点があげられている。
  今回選ばれた三大夜景を詳しく見てみる。
  まず、モナコは“地中海の宝石”とも称される美しいリゾート地として有名。まるごと一国の夜景が楽しめるという、世界的に珍しく貴重な夜景を有する。エルキュール港の両岸の丘陵部に俯瞰可能な視点場が分散し、モナコ公国の異なる表情が鑑賞できる。日本国内では見ることが出来ない豪華クルーザーが停泊する魅惑的なマリーナ夜景のほか、安全性が確保された瀟洒な街並み、大公宮殿やグラン・カジノにみる歴史的建造物が闇夜に浮かぶ「ライトアップ」や花火等の「夜のイベント」等、夜景の種類はもちろん、夜間イベントも豊富。公式HPに夜景専門ページを設けるなど、夜景を活用した観光的取り組みも進んでいるということが評価された。


  次に香港。世界三大夜景の定番と称される香港の夜景は今回の認定でも見事に選出された。国際的な夜景観光地であるビクトリアピークと対山のカオルーンピークの俯瞰可能な二大視点からは、香港の港を中心とした全貌を体感できる。また、香港銀行等の先進的なライトアップ、「シンフォニー・オブ・ライツ」の都市をまるごと活用した大規模な光のショーのほか、香港島、九龍半島、ランタオ島には、リゾート夜景や埠頭夜景等の様々な夜景の種類が点在。1泊、2泊滞在しても全てを眺めることが難しいほどの夜景資源が豊富である。


  最後に、競合ひしめく日本国内の激戦を制し長崎の夜景が選ばれた主な理由は次のとおりである。
  港街としての情緒溢れる夜景は、長崎港を取り囲むすり鉢状の地形の底にある。それを取り囲む稲佐山・・風頭公園などの多数の山々が、俯瞰的な夜景鑑賞を可能にしている。各視点場における夜景もそれぞれに異なる表情をもち、長崎夜景の懐の深さを伝えている。近年の視点場の環境の整備状況も良く整っている。大浦天主堂、出島、女神大橋、眼鏡橋等のライトアップ、観覧車によるアミューズメント夜景等の夜景種類も豊富である。長崎ランタンフェスティバル等の夜間のイベントも卓抜している。さらに、夜景を中心にした観光パンフレットやHP「長崎ノ夜景」、夜景ナビゲーターの養成等、ソフト&ハード両面のバランスも整い、国際的な夜景観光に積極的に取り組んでいることが高く評価された。
  夜景といえばネオン業界に身を置くものとしては見過ごすことのできない、つきない興味の対象である。これを機会に世界の夜景を見て回りたいものだと考えるのは私だけだろうか?


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