最前線シリーズ

 

「トレインチャンネル」で展開される気象情報連動CMと全24,000面への配信の仕組み

月刊『サイン&ディスプレイ』編集部 青木利典
各種指数と絡めた商品告知でCMをより説得力のあるものに
 JR山手線や中央線快速、京浜東北線などのドア上に、「トレインチャンネル」という映像メディアが設置されているのは、皆様もご存知だと思います。
  同媒体は2002年4月に登場してから順次モニター数を拡大しており、現在はJR東日本の7つの路線を合わせると約24,000面という規模に達しています。広告会社やクライアント企業から広く認知された、デジタルサイネージの広告媒体です。
  「トレインチャンネル」を運営する株式会社ジェイアール東日本企画(以下 jeki)は、2011年5月からリアルタイム配信機能を備えたシステムを導入。これにより現在は、一般財団法人日本気象協会が発表する気象情報と連動したCMを放映するようになりました。


  例を挙げると、関東の花粉情報を地図形式で15秒間表示し、その後の15秒間は商品の広告映像を流す“花粉指数連動”のCMが、去年と今年の2月〜3月に2年連続で展開されました。
  また昨年8月には、洗濯指数が高い(外で洗濯物が乾きやすい)日と、洗濯指数が低い(外で洗濯物が乾きにくい)日で、異なる洗濯洗剤を使い分けて宣伝する“洗濯指数連動”のCMが放映されています
  これらのCMはいずれも1日数回更新され、当日もしくは翌日の指数が表示されました。CMを放映するクライアント企業としては、指数と絡めて自社商品をPRすることで、CMをより説得力のあるものにできます。「トレインチャンネル」はこのような手法のCMを実施できる機能を備えたことで、媒体価値を一層向上させています。

指数・天気予報・ニュースをリアルタイムで配信する「WENDY(ウェンディ)」
  これらの指数連動のコンテンツ生成と配信の仕組みは、簡単にご説明すると以下の通りです。
  前述の2011年5月から導入されたシステムとは「WENDY(ウェンディ)」というもので、指数連動CMの他に天気予報やニュースをリアルタイムで配信可能です。
  洗濯指数連動CMを例にとると、指数が高い日の洗濯洗剤と、指数が低い日の洗濯洗剤の2パターンのフォーマットをあらかじめ用意し、指数を表示する部分は空欄にしておきます。外部から「WENDY」にその日の洗濯指数が送られてくると、「WENDY」が指数に応じて最適なほうを選び出し、画像合成機能によって自動的に空欄部分に数値が書き込まれて表示用画面が生成されます。ニュースや天気予報の場合は、コンテンツプロバイダーから「WENDY」に文字と画像で素材が送られてきます。それらを「WENDY」の画像合成機能が、自動的に表示用の画像として生成。出来上がった表示用のデータは「トレインチャンネル」の配信システムに送られます。


  次に、各路線の車両にどのようにデータが送られるのかを、簡単にご説明します。
  山手線と中央線快速は、“拠点駅”と呼ばれる数カ所の駅にサーバーが用意されており、電車がその駅に停まった際にミリ波という電波を使って車両にデータを送ります。これをjekiでは第一世代と呼んでいます。
  京浜東北線も同様に“拠点駅”が設けられていますが、データの送信には無線LANを使用しています。これが第2世代です。
  成田エクスプレス、京葉線、埼京線・川越線、横浜線は第3世代で、“拠点駅”という概念はなく、高速の無線通信WiMAXによって随時更新しています。
  デジタルサイネージ広告媒体としては圧倒的な約24,000面という面数を誇る「トレインチャンネル」の裏側には、このような仕組みがあるのです。

取材協力・写真提供 株式会社ジェイアール東日本企画



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