表紙によせて─11

 

「いつか見たネオンサイン @」

  浅井愼平


 コーディネイターのスティーブと別れ、露地を抜け、サンセット大通りに出た。夜が早いせいなのか、車がひっきりなしに右往左往していく。「さてと、どうする」ぼくは心のなかで呟いた。
 酔いはまだ浅い。スポーツ具店のショー・ウィンドに、ぼくが映っている。「なんだ、東洋人か」とぼくはガラスに映った自分に云った。
 一人で外国の街を歩いていると、心細い。日本でも旅の中でそんなことはあるが、何か、すこし違う。地球という星の上であることには変わりがないのだが。こんなことを考え、もう何度、旅をしたことか。
 明日はネバダの砂漠で撮影だ。あまり、遅くまで飲んではいられない。スティーブと別れた元のバーに戻るか。振り返るとバーのネオンが瞬いていた。


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