点滅希

 
 児童虐待  
    

 犯罪にもいろいろあるが、私が最も憎むのは幼児や子供の虐待である。新聞に頻繁に出る虐待のニュースには涙がにじみ、目を覆いたくなる。虐待される子供は逃げることも他に訴えることもできない。どんなに恐ろしかっただろう。どんなに痛かっただろう。つい最近、殺された女の子は別れた夫に似ているからと、顔に熱湯をかけられ、全身に傷跡があったという。親はケータイで「今夜、帰ったらやろう」と虐待のしめしあわせをしていたという。押入れには拘束具もあったというから身の毛がよだつ。地獄の鬼よりも残酷だ。
 私が小学生のとき、裏の家の女の子が虐待されていた。ときどき泣き叫ぶ声がもれ聞こえてきた。親はまま母で元芸者だが三味線を教えていた。女の子は私が外出時、たまたま顔を合わせることがあった。にっこりと挨拶してくれ、「どこへいくの」と聞かれたりした。私はその顔を見てほっとしたものだ。あの子はどうしているだろうと、ときどき思ったものだ。
 虐待された子供は大人になったとき、自分の子供を虐待するようになるケースが多いという。悲しい現実だ。

(愚庵)

Back

トップページへ戻る



2016 Copyright (c) All Japan Neon-Sign Association