ちょっとヒント・うちの会社では

 
5つのご縁
    東北支部 (株)阿企サイン社 阿部明夫

 私がこの業界に入って早50年が経ちます。その間、様々なご縁に恵まれてきました。人は誰しも何らかのご縁に関わって生きています。
 ・両親の愛に包まれて、この世に生を受けた縁
 ・戦後、成長著しい日本の大都会に修行の旅 に出た縁
 ・その東京で妻となる女性と出会った縁
 ・看板、ネオンの仕事を通して数々のお客様 と結びついたご縁
 ・米袋のご縁?5円?
 私は副業でコイン精米所を営業しています。事の始まりは、当時92歳の母(103歳で亡くなり、大往生でした)の介護施設代を捻出するため、広告媒体用の空いていた土地を活用することを思いつきました。自販機、ガチャガチャ、洗車場、精米所、コインランドリー・・・。色々調べた結果、精米所に決めました。私の住む福島県は、米の収穫量が全国トップ5に入る米処でした(H23年原発事故以前の統計)。農家から玄米をまとめて購入し、コイン精米所で精米する家庭が多く、私の精米所は順調に稼働していました。精米で出る米糠は、お客様に自由に持ち帰って頂いていました。家庭菜園など畑の肥料にしたり、ぬか漬け用に、春の筍の時期には灰汁取り用に、米糠は家庭で活用できるため、精米所から出た糠の処分に困る事はありませんでした。
 しかし、平成23年3月の東日本大震災による原発事故後は、放射能の不安から畑も耕せず、福島県の米は汚染されているのではないかと風評被害に悩まされていたある日、「放射能に汚染された玄米は、精米することで放射性物質を6割除去できる」と、大学教授が見解を発表し、新聞に大きく掲載されました。それにより「精米で出た米糠=汚染物質」という認識がインプットされてしまい、7年経過した現在も、糠を持ち帰るお客様は少なく、毎日朝晩、精米所の掃除をして、米袋(30s用)に糠を15s程詰めて、地元の肥料会社に持ち込んでいます。
 米袋は新品で1枚50円、中古の物で20円、安売りで18円。ネットで調べても価格は同じか逆に高いくらい。毎月約2トンの米糠を処理するため、袋の経費もバカになりません。安価な袋を探し、色々な方にお話を伺っていたところ、ある農家の方から「米販売会社で集荷後の袋が安く手に入るよ」と教えて頂きました。早速、米販売会社を訪ね事情を伝えた所、1枚9円で交渉成立!戦利品を販売店の若い社員に手伝ってもらい軽トラックに積み込み、「ありがとうございました。これを御縁によろしくお願いします。」と挨拶をしたところ、若い社員の表情が一変し、「今値段決めましたよねっ!!」と怒り始めました。私はお礼を言ったつもりなのに、この若者は一体どうしたのか?私が呆気に取られていると、その様子を察知した部長さんが事務所から出て来てくれました。私が状況を説明し、「おそらく若い方は御縁と5円を勘違いし、値引交渉だと思ったのでしょう」と言ったところ、部長さんが「今後は私に直接交渉して下さいね」と言うので、「ではおいくらになりますか?」と流れで聞いたところ、「5円でどうでしょう」と、部長さんからびっくり価格を提示されました。「ありがとうございます!今後共宜しくお願い申し上げます」と頭を下げ、米販売会社を後にしました。
 スマホの中だけで知り合えるのも今の時代のご縁かもしれませんが、やはり人と人は直接会って顔を見てお話し、お付き合いしていくことで、その人の魅力や人間性を知ることができます。「米袋のご縁」のように、事が思わぬ方へ好転することもあります。
 皆様にもどうぞ沢山の「ご縁」がありますように。



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