最前線シリーズ

 

おもしろいデジタルサイネージ

(株)マスコミ文化協会 川崎玲美
 
 さて、2017年も、都内を中心に多くのイルミネーションを取材しました。例年、あまり変化がないように見えるイルミネーションも様々な工夫を凝らし、昨年とは異なる演出を行っています。
 今回は、私が取材を行った中で、特にオススメのイルミネーションを4つ紹介したいと思います。

顔ハメ看板と最新技術のコラボ
 1つ目は、「スマートイルミネーション横浜2017 コアフェスティバル」です。2017年11月1日から5日までの期間開催されました。
 スマートイルミネーション横浜は、省エネ技術とアートが織りなす夜景作りのプロジェクトです。7回目となる今回も、世界中のアーティストが参加しました。街中のいたるところで多彩な作品が展開され、横浜の街を散歩しながら楽しむことができます。
 スマートイルミネーション横浜は2010年にスタートしました。最初は、観光地以外のおもしろい場所をアーティストと写真家が歩き、撮影していくというイベントだったそうです。翌年からは現在のようなフェスティバルを計画していたそうですが、東日本大震災が発生し、大変な被害に見舞われました。横浜でも、計画停電や夜の公共空間の電気が制限されるなどし、皆がこれからの生活に不安を抱いている時期の実施について、かなり議論し合ったそうです。しかし、このような時だからこそ、アートの知恵でみんなを勇気付けることはできないかと、タイトルに「スマート」をつけ、省エネ技術と環境技術を用いて実施。これまで様々な作品が展示されました。例えば、2011年には、既存の照明にカラーフィルターを巻いただけの作品も登場しました。特殊な電気は使わず、既存の照明に一工夫するだけで、環境に変化を与えることができるのです。
 今回、数多くある作品の中でも、特に注目したのが、「カオハメ・ザ・ワールド」という作品です。これは、11月1日に開催されたオープニングイベントでも、メインコンテンツとして紹介されました。
 「カオハメ・ザ・ワールド」は、「スマートイルミネーション横浜2014」で発表した作品「建物お芝居」のプロジェクション技術を応用したもの。「建物お芝居」は、あらかじめ撮影した人の顔を建物に投影しましたが、「カオハメ・ザ・ワールド」は、顔ハメ看板に顔をハメると、リアルタイムで「クイーン」の愛称で親しまれている横浜税関へ、看板にハメた顔が投影されます。また、イベント期間中の4日・5日には上海にも同じ顔ハメ看板が登場し、中継をつないでユニークな国際交流が行われました。
 

 「カオハメ・ザ・ワールド」を制作した橋匡太氏は、「顔ハメ看板が大好きです。その大好きな顔ハメ看板と最新技術を融合することで新しいコミュニケーションを提案したいと思っています。東京オリンピック・パラリンピックに向け、国際的な対話や交流が重要視されています。まだまだ壁は高いですが、顔ハメ看板には笑顔を出す穴が空いています。このプロジェクトによって世界に風穴が開けられると信じています」と語ってくれました。
 また、この「カオハメ・ザ・ワールド」は、トヨタ自動車の水素で走る燃料電池車「MIRAI」から電源を供給し点灯していました。
 11月1日から12月31日は、コアフェスティバルの一部作品を継続展示するヨコハマ・イルミネーション・マンスも開催されました。

曜日ごとに異なる演出が魅力!
 2つ目は、開業10周年を迎えた東京ミッドタウン(東京都港区)のクリスマスイベント「ミッドタウン・クリスマス 2017」です。

 11月15日から12月25日の期間に開催されたこのイベントのメインともいえるスターライトガーデンでは、約2,000uの芝生広場で宇宙空間を表現。月曜日は月、火曜日は火星、水曜日は水星など、曜日ごとに異なる惑星をイメージした演出を実施していました。12月10日までの期間中、ミッドタウンのwebサイトにて演出の人気投票が行われ、12月23日〜25日の3日間は、人気No.1に輝いた演出を楽しむことができました。ちなみに1位に輝いた演出は、月曜日の月です。月が太陽を覆い隠す皆既日食で現れる神秘的なダイヤモンドリングを「白」の光で表現した演出はとても幻想的でした。
 11月15日には、点灯式が行われ、ゲストとしてタレントの大泉 洋さんと北川景子さんが登場しました。

劇中歌を用いて、作品の世界観を表現
 3つ目は、ディズニー映画「美女と野獣」の世界観をイメージしたカレッタ汐留(東京都港区)のイルミネーション「Caretta Illumination 2017 〜真実の愛の物語〜」です。

 カレッタイルミネーションを象徴する青を基調としながら、「美女と野獣」の主人公ベルのドレスカラーである“ベルイエロー”色に光のタワーが彩られ、ベルと野獣のダンスシーンの世界観がロマンティックに表現され、とてもきれいでした。また、ダンスホールをイメージした会場にはキャンドルが装飾され、メインツリーには劇中に登場する「魔法の薔薇」が設置されるなど、細部にまでこだわりを感じます。さらに、楽曲には作品のダンスシーンで流れる名曲「美女と野獣」や、セリーヌ・ディオンさんが歌うエンド・クレジットソング「時は永遠に」を使用し、感動的なムードを演出していました。
 こちらも点灯式が実施され、ゲストには、「美女と野獣」の日本語版ボイスキャスト、野獣役の山崎育三郎さんが登場し、劇中歌「ひそかな夢」をはじめ、11月15日にリリースされた「1936〜your songs T&U〜 Special Box」から「奏」と、山崎さんが主演したテレビ朝日系ドラマ「あいの結婚相談所」の主題歌でもある「Congratulations」を披露、スペシャルミニLiveが行われました。
 このイルミネーションは、2018年2月14日まで開催(1月1日・2日はおやすみ)されており、1月3日からは、イルミネーションショープログラムを変更し、「美女と野獣」の楽曲の他のシーンをイメージしたコンテンツになりました。

プロジェクションマッピングも実施 東京スカイツリー限定ライティング
 最後に、11月9日から12月25日に開催された「東京スカイツリータウンRドリームクリスマス2017」を紹介します。

 今年は“きらめく星空の下、世界のみんなと楽しいクリスマスを過ごす”をコンセプトとして、“星”や“世界”をモチーフにした様々なイルミネーションやイベントが開催されました。イルミネーションは東京スカイツリータウンRの各所に登場し、LEDの数は合わせて約52万球。その輝きはまるで光の街ようです。
 注目は、東京スカイツリーRの足元にあるスカイアリーナの光ガーデン。高さ6.34メートル花のクリスマスツリーを中心に、フランス式庭園風の花壇に星やハートを配したイルミネーションです。お昼の間は色鮮やかな花が彩り、夜は幻想的な光に包まれます。その他にも、東京スカイツリーRの限定ライティングも実施。点灯セレモニーには、“美と平和の親善大使”である、一般社団法人 国際文化協会主催の2017ミス・インターナショナル世界大会出場者の美女たち69名が参加し、会場となるスカイアリーナの光ガーデンを点灯させました。
 12月1日から25日までの期間には、プロジェクションマッピングも開催。一部のイルミネーションは、光ガーデンを点灯させました。さらに、12月1日から25日までの期間には、プロジェクションマッピングも開催されました。



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