ネオンについて語らせて

 

ネオンの技術継承

  NeonTuber


 松坂屋静岡店で「大ネオン展」開催!ネオン好きオジサンとしては見逃すわけにはいきませんね。この号が発刊される頃にはもう終了していますが、きっと見に行っているはずです。
 それにしても最近、若手がネオンをアートやデザインに取り入れるシーンを多く見かけるようになりました。実際に本業としてご活躍されている若手デザイナーもいて、アパレルショップやイベントなどで作品を目にすることができます。昔はネオンと言えば広告の一材料として大量消費されるものでしたが、今は少量消費の時代。しかし悲観することなかれ。少量であるからこそ、その中で価値が際立ってくるとも言えます。アート分野への波及はその流れなのかもしれません。そういえば、協会でも過去に「ネオンアート展」を開催していましたね。看板屋集団の催しなので、自分の出品作を含め工作の域を出ない感はありましたが、いつの間にか開催されなくなったのは残念に思います。

 さて、若手の間でネオンに対する好感度が上がっている点は喜ばしいことではあります。しかしネオン曲げは実際にはかなり難しく、そう簡単に習得できるわけではありません。聞くところでは、修業に最低5年、一人前になるには10年かかるそうです。専門学校や講師がいるわけでもないので、本職の方に仕事の傍らで教えてもらわねばなりません。そういった職人はいま日本に一体何人くらいいるのでしょうか。
 協会ではネオン管技工士認定試験というものを実施していますが、昭和56年の開始以降の累計は337人です。もう40年近く経ちますので、現役の方は当然もっと少ないはずです。近年のネオンマイスターとして顕彰されている人数はというと、115人です。こちらも現役でない方が含まれているのであてになりません。そこで筆者が注目する数は、協和電子の亀田社長からヒントを得た約60人。国内唯一のネオン管製造会社である協和電子さんのおよその出荷先件数です。ほとんどの会社で曲げ職人が1人という実態からの予測に基づいています。年齢層まではわかりませんが、今後職人の現役引退によって人数が減ることは間違いないでしょう。その一方で弟子の数が増えているかといえば、ネオン管技工士認定試験の過去10年の受験者数はたったの4人です。
 世のなかは需要と供給のバランスで成り立っています。需要があれば、供給としての職人は自然と何とかなるような気もしますが、一度失われてしまった後で復活させるのは案外骨が折れることです。今後のネオン需要に対し、果たして供給は保たれるのでしょうか。いつも思考がそこで止まってしまいます。

安藤 知輝さん


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