街のサイン

 
Monumental sign of JA
    
中国支部 (株)フォルト 河野浩司
 2017 年の春を迎える頃、JA 山口県下関統括本部新築工事の計画が始まった。建築設計事務所からのご依頼で、建築設計と同時にサイン計画を進めるお手伝いをさせていただく機会を与えていただいた。

 建築のコンセプトは、建築自体のデザインが耐久性を確保した無機質なデザインによって踏襲され、強く信頼性のある建築を表現し『なごみある農業の拠点・人々が集う』建築を目指していた。
 その為に各所に木質感を感じられる要素やシンボルツリーを施し、暖かみのある建築空間を演出する。またガラスによる透明感も演出している。
 内側と外側との質感のギャップは相乗効果を生み、各素材の個性が際立つ建築となるように計画をされている。
 その中で本建築の広告塔の役割を果たす外部の自立サインを提案することとなった。
サインのコンセプトとしては
@ 今までにない広告による差異化(ブランド・プライド)
A 目印(シンボル)としての自立
B 明るい場の演出(建築とのギャップ)

以上のことから、その形(Form)は農業の拠点の建築に対するサインであることから、有機的な(農作物)イメージを想起させるようなデザイン
を心掛けた。
 日本人の主食である『米』をモチーフにしている。『お米1 粒』を大切に、その心掛けを体現できるような形状を計画した。色(color)はリンゴやトマト等、農作物が美しく熟した様子をイメージした。果物などが赤く染まるのは他より目立ち、鳥などに識別してもらいやすくし、動物が集まることによって、結果、たくさんの場所で芽を出し、育つ為であると聞いたことがある。尚且つ祝いの米としてある赤米をイメージしたものでもある。

 赤い灯火(ともしび)がこれからの企業発展の基点になることに想いを馳せる。
 2017 年9 月には20 分の1 のミニチュアのモニュメントを制作しクライアント様にプレゼンを行い、そこから工作物設計及び実施設計に着手した。2018 年11 月から弊社工場にて鉄骨の加工に入り、造形加工に着手した。
 工場内での製作期間約7 か月。2019 年5 月30 日、工場から現地に搬送され, 翌日の5 月31 日、無事に弊社の職人達の手によって、レッカーで引き揚げ、アンカーボルトに締結されて建設をすることが出来た。

 2020 年春、公益社団法人日本サインデザイン協会主催の第54 回日本サインデザイン賞に応募させていただき、中国地区賞を受賞することが出来た。
 造形物はいつも苦心をして制作に取り組んでいるが、今回は特に直線と曲線が織りなす造形であったが故にそのクオリティ等において神経を遣ったものとなった。

 この新たなるモニュメントサインが街の中で、人々の集いの象徴になればと願うものである。



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