ほっとコーナー

 味自慢・酒自慢  〜酒  味〜 
北陸支部 三元社 源国男
 

 「酒なくて、何の己が桜かな」とよくいわれるが、今年も私の一番好きな季節がやってきた。

 酒のない花見では、楽しさもまた半減するが、車社会の現代では、一概にそうもいかない。酒か桜か、どちらかにした方が無難であることが多い。二兎を追う者は一兎も得ずだ。

 先週の日曜日、兄貴夫婦を誘って、家内と共に敦賀の金ヶ崎城跡や小浜公園などの桜景色を訪ねた。

 金ヶ崎は、今、城跡一帯が公園となっており、市の桜の名所にもなっている。

 ここは、南北朝の頃、南朝の忠臣、新田義貞が後醍醐天皇の皇子、恒良、尊良両親王を奉じて籠城し合戦したところであり、また、戦国期には、朝倉・織田両軍の戦った場所でもある。

 城跡の一部には、現在、戦死された両親王を祀った金ヶ崎宮が建っており、花見に来た男女が桜の花を交換し合うというロマンチックなお祭りの期間中でもあって、多くの花見客で賑わい、花の下には、所狭しと宴席ができていた。

 しかし、肝心の花の見頃は、いま一息といったところであったが、悲劇の古戦場の痛ましい歴史が加わって、花見の味が深められた。

 兄貴の駄作には
    「もののふの血潮に染みし金ヶ崎 今日はさくらに彩られ」

 小浜公園は、市街地の海岸寄りのところにあった。場所が分からず、親切な女性の車の先導で案内されたが、残念なことに肝心の花は殆ど開花していない。

 桜の本数はかなりの数で、これが咲き始めたら、さぞかし見事であろうと、私たちは、暫くの間、公園の周辺を歩き廻った。

 園内の桜樹には、もう雪洞がきれいに取り付けられ、気の早い花見客の用意したゴザや敷物が、既に各所に敷かれている。今夕あたりから花見宴が開かれるのであろう。

 私たちは、幸い直ぐ近くのお寺さんの境内に満開の桜を発見し、思いがけない花見を楽しませて貰った。

 申し分ない開花で、たまたま来寺された女性から「この桜は彼岸ざくらで、花期が早いんですよ」と教えられた。

 整った古い山門のある真言宗の寺院で、本堂には『高成禅寺』の山額が掛かっている。

 私たちは、静かな境内で暫くの間、この見事な早咲きの桜の優美な花の味に見とれていた。また、兄貴から例の凡句が出る。
    「古寺の庭を彩る さくらかな」

 一番大事な酒の方は、今回の旅には縁が無かったが、桜の花にも酒と同様、いろんな花味があることに気がついた。

 花の品種、環境、歴史、演出など、夫々交錯し合って花の味わいが微妙に違ってくるようだ。元来、日本人は昔から桜とは非常に深い相性があるようで、大切な心の持ち方でさえ、桜の花で表現している。
     「敷島の大和心を人問わば 朝日に匂う山ざくら花」
や、長い武家社会の中では、  
    「花はさくら木、人は武士」
などと、桜花の散りぎわのよさを、武士のいさぎよさのモデルにもされている。

 国花といわれるのは当然だが、「桜守」で有名な佐野藤右衛門さんは、桜に対する近年の動向に対して、昔から国内で自生してきた桜は、ヤマザクラ、ヒガンザクラ、オオシマザクラの3種だけで、他はすべて品種改良によって出来たもの、桜の代表のようにいわれるソメイヨシノもこの品種改良種、割りと根付がよく、生長も早いので急速に増えたが、全国どこへ行っても、ソメイヨシノばかりで、花の景色は皆一様、面白味も深味もなくなったと嘆かれている。

 豪華美や華麗美ばかりを追及する現代人の価値観に問題がありそうだが、最近、酒の世界には、夫々の地方の味を頑なに守ってきた地酒に、人気が高まってきたともいわれており、この多様化の波が、桜の世界にも波及し、環境に応じた、様々な「花味(ハナアジ)」を楽しむことの出来る名所の増加を願っている。

 
 香港に世界最大規模のPanasonicネオン 
−カラーで曜日の変化を知らせる−

提供者:四国支部/光田

 松下電器産業(株)は、アジア有数の拠点、香港に大型のPanasonicネオンを完成させた。

 同社は国内サイン広告でも長年にわたり、数々のヒット作を発表してきたが、今回は左右の幅が97m、Pの高さは10mと世界最大規模を誇り、それを三棟の高層マンションの屋上(地上約100m)に新設した。

 設置場所は、香港島ビクトリア港前に位置し、2km以上海を隔てた九龍半島からも正面に望める絶好のロケーションとなっている。

 表示内容はPanasonicのロゴをコーポレートカラーのブルーで表示し、周囲を白で縁取りすることにより、遠距離からの認知効果を高めている。

 また、ロゴタイプの両側には毎日カラーで曜日を知らせるサイン(日曜が赤色、月曜は空色など)を付加して、より注目度のアップを狙っている。なお、先般新空港の移転に伴い、ロゴ両側の表示には点滅によるムービング効果を取り入れている。

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