ほっとコーナー

「21世紀と日本」
写真 猪瀬氏猪瀬直樹氏
1946年長野県生まれ。作家。「ミカドの肖像」で1987年大宅壮一ノンフィクション賞、「日本国の研究」96年文芸春秋読者賞受賞。他著書多数。
 

 ご紹介いただいた猪瀬直樹です。僕は基本的には毎日原稿を書く仕事が中心ですので、本は良く読みます。本屋へは週2回いかないと、新しい話題がわからなくなってしまいますね。本をふと買うわけですが、週2回買っても年間100冊、3年経つと300冊。本に買った日付をいれておく。それが一番ずぼらな日記ですね。本はワインと一緒で熟成してくるのです。無意識のうちにも連続性があるので、タイトルはめちゃくちゃでも自分の気になるリスト集です。自分の考えてきた流れが見えてきます。明日企画会議という時に、3年前の本を見るとその人のオリジナルな考え方や発想が見えてくる。始めから終わりまで読む必要はまったくない。ふっとめくったところ10ページ読めば大丈夫です。閃くための触媒ですから。

街の中の光

 僕が住んでいる住宅街は、クリスマスの時はハデになります。光が生活の中に大きな比重を占めるのかなとあらためて思いました。不景気といっても、光の需要は伸びていくと思います。広告と一体となれば広告の売り上が減るだけで、人間の欲望、あるいは本能的な光に対しての渇望感はこれから伸びていく産業だと思います。

 以前にカジノ学会を作りました。これは評論家の室伏哲郎さんが呼掛け人で、色々な人が集まったが、このところ下火になって残念です。

 阪神大震災のあと神戸の復興が大変遅れているて、神戸自身が税収を増やさなければいけない。カジノを自由化すれば税収が増えるだろうというのでカジノ学会をやろうと思ったんですが、日本の法律を変えない限りだめで、その法律をどうやって変えていくか検討したけれど難しくて、今頓挫しています。  アメリカのカジノはラスベガスだけではなく、ニュージャージー州のアトランティックシティでは収益の一定比率を福祉にあてるという条件でカジノを合法化しました。西のラスベガスを抜いて年間3300人が訪れ、税収が260億円増えた。日本ではなんといっても現行法の壁は大きくて、実現は難しい。

税の使われ方に関心を

 サッカーくじが話題ですが、ぼくはカジノには賛成したけどサッカーくじは反対です。各省庁が独自にヘソクリをつくろうとしている。サッカーくじは文部省には何百億円というお金が入るのですね。それをスポーツ団体に助成するとか、分配する権限を持つと、スポーツ団体は社団法人、財団法人などにいきます。これが天下りを要請するかたちになります。

 皆さんが納めた税金はどう使われるか関心をもってほしいのです。今、日本はGDP売り上げより多い6百兆円の借金があるといわれています。この国債とか地方債の借金で何をしているか、色々な公共事業のために使っているのです。特殊法人とか公益法人。各省庁がヘソクリ予算をつくる一歩なのです。その構造が動かない限りは、日本でカジノはつくれないのです。

 国家予算は大蔵省で決めますが、各省庁が持っている予算は大蔵省が配るようになっています。このヘソクリ予算、自分の中にミニ大蔵省を作って配っている。それが、まかり通っている所は普通ありません。カジノを民間に任せないということですね。民間に任せてだめだったらつぶれるから解りやすい。税金は納めなければいけないし。そして、残念ながらネオンが輝くという話にはなりません。

 6百兆円の借金をどうしたらいいのか。東京湾横断道路に乗ったことがありますか。木更津まで10分弱で、往復8千円。何故、こういう非合理がまかり通っているのか。ようするに赤字をつくって平気なプロジェクトは一杯あるんです。  阪神大震災は5年になりましたが、お客さんは神戸になかなか戻ってこない。何が問題だったかというと、コンテナを神戸に運ぶのに1コンテナにつき7百ドルかかります。韓国のプサンからは2百ドルで引き取ると言ってきた。国際料金はどこへ持っていっても1個1千5百ドル。問題は国内の通行料ですね。高速道路料金が高いからです日本全国に高速道路が走っていて、値段は下がる事はない。サービスエリアとかパーキングエリアは全部日本道路公団のすぐ下にある財団法人で日本道路施設協会が仕切っています。日本道路公団の総裁が終えると、財団法人日本道路施設協会の理事長になります。そこが全部仕切っているのです。

 財団法人日本道路施設協会の売上が7百億円、利益が百億円です。その財団道路施設協会の下に70社の株式会社があります。70社の株式会社は全部黒字で、総売上が5千5百億円です。本体はマイナス4兆5千億円の規模で国からの借り入れです。税金の公的資金が毎年2千億円、3千億円ただで入ってくる、だから連結決算すれば違ってくるはずですね。だったら70社の黒字分をそそぎ込めばいいが、そうしない。彼らは寄生虫ですね。道路公団に巣食っている寄生虫が栄養を全部吸い取っていきます。そんなことしていたら国が滅びてきます。

 国に6百兆円の借金がある、会計検査院がチェックをするのも民主主義です。メディアやジャーナリズムや国会議員がチェックする。この間やりまして、2百億円指摘する金額は、会計調査マンは1千2百人いて、2百億円です。会計検査院は大蔵省の裏にあって、建物も人も暗い。ここは大臣がいない、応援団がいないのです。2百億円は自分の所の予算です。自分達の食い扶持が2百億円で、2百億円摘発するだけです。おかしいですね。2百億円の予算だったら、売上が2千億円くらいないとあわないです。フランスは日本と同じ官僚国家ですが、でも大統領はほとんど会計検査院の出身ですからチェックがきびしい。日本は予算を決めて配れば終わりですから。本当は配ったらどう使うかが勝負です。アメリカは議会にくっついての会計検査院、フランスはエリートの会計検査院、日本は盲腸みたいです。2月、3月予算委員会はテレビも放映しないです。ほとんど、話題にならない。だから、メディアもきちんと監視して国会議員、会計検査院も監視することです。

光がソフト

 携帯電話も含めて、これから通信はもっと大きくなります。以前は3千円くらいの電話代だったのが2、3万円でも平気になって、コンビニで払うようになった。幕末に官軍と幕府軍が戦争して、鉄砲の数も人数も同じだったのが、なんで官軍が勝ったか、服装がちがったから歩き方もちがう。官軍は音楽、整列するソフト、幕府軍はホラ貝吹いて袴はいて、官軍は西洋のソフトをいち早く取りいれた。鉄砲はハードで一緒でもソフトが違う。

 我々がアメリカとの戦争に負けたのもソフトに負けたのです。皆さんの仕事もソフトです。観覧車は必要ではないけど、あれば楽しい。クリスマスにあちこちで住宅街は明るくなりました。光はソフトです。皆さんは大事な仕事をしていると思います。確実に伸びる仕事です。これからものすごく需要がある仕事です。だたがんばるのではなく、本からアイデア、ソフトを汲み取ってください。3年たてば熟成します。分かっている人の挨拶は、最近こんな本を読んだというのが挨拶ですね。

 

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