私のネオン屋稼業奮戦記

 技能五輪 
職業能力開発総合大学校 電気工学科教授(工博) 中野 弘伸

中野 弘伸さん技能五輪

 ネオン工事技術者の皆さんには聞き慣れない言葉かもしれません。

 技能を競うオリンピックと言えば判りやすいのではないかと思います。

 技能五輪の目的は技能を競うことにより、職業訓練の振興及び技能水準の向上を図るとともに、青年技能労働者(満22歳以下)の育成にある。

 この大会には、国内大会と国際大会があり、国内大会には、各都道府県で行う地方大会と地方大会で選抜された全国大会がある。全国大会は技能の日本一を決める大会でもあり、国際大会へ出場する選手選考の大会でもある。

 国内大会は毎年開催され、都道府県持ち回りで行われている。今年は第39回大会として福島県で11月初旬に行われる予定である。また、第40回大会は熊本県、第41回大会は新潟県、第42回大会は岩手県で開催されることが決定している。

 国際大会は隔年毎に開催される。技能世界一を決める大会である。目的は国内大会とも同様であるが、さらに国際的な技能水準の向上と国際交流および親善とがある。

 今年の9月には韓国のソウル市で第36回大会が開催される。第37回大会は2003年にスイスのサンガレン、第38回大会は2005年にフィンランドのヘルシンキ、第39回大会は2007年に静岡県で開催されることが決定している。 大会の経緯  国内大会は38年前に第1回大会として、東京を主会場として開催されている。主催団体は日本産業訓練協会が行い、全面的な民間の業界団体の支援の基で開催されていたが、第10回大会前後から各都道府県の職業能力開発協会と中央職業能力開発協会が主体となって開催されるとうになった。

 特に、国際大会は中央職業能力開発協会が加盟機関として登録されているため、国際大会への選手派遣は、当協会が窓口となっている。

 国際大会は、スペインとポルトガルの2国で開催されたのが第1回目と言われているようだ。  我が国は1962年の第11回大会から参加し、第19回大会に千葉市六方町の千葉中央技能開発センターで、また第28回大会では大阪で開催されている。

 前回のカナダ・モントリオール大会(1999年11月)の成績は32職種に参加して、金メダル6個、銀メダル3個、銅メダル2個、敢闘賞(入賞)10個と参加国中3位の成績を納めている。

競技職種と参加選手数

 国内大会の競技職種は31職種、参加選手は700名を越えている。職種名は、機械組み立て、メカトロニクス、機械製図、電子機械組み立て、電工、工場電気設備、建築大工、フラワー装飾、美容、洋裁、自動車工、構造物鉄工、電気溶接、家具、石工、造園、洋菓子製造、西洋料理、精密機器組み立て、配管、他がある。

 参加選手の多い職種として、建築大工、配管、電子機器組み立て、電工などである。  国際大会の競技職種は40職種である。我が国はこのうち32職種に選手を派遣している。国内の競技職種に含まれない理容などは、業界独自で選抜された選手が派遣されている。

 国際大会での競技職種は次のとおりである。  機械組み立て、抜き型、精密機器組み立て、CAD製図、CNC施盤、CNCフライス盤、構造物鉄工、情報技術、配管、電子機器組み立て、電工、民生用電子機器調整、工場電気設備、メカトロニクス、貴金属装身具、美容、理容、調理、ウェイター、自動車工、農業機械、冷凍技術、その他がある。

 なお、正式な競技職種として認定されるためには、参加国が8カ国以上必要であるが、当然8カ国未満となると、正式職種から抹消される。

 現在の参加国は先進諸国、発展途上国を含めて32カ国、参加選手は600名前後である。

競技内容と競技課題

 競技内容は、各職種毎に定められた職種定義に基づいて決められている。

 職種定義には最新の技術進歩を含めた内容で適切な技能評価ができるものと定められている。

 国内大会の場合、作業時間は6時間が原則であるが、職種によっては9時間程度のものもある。

 特に、電工職種は屋内配線工事を主体とした配線作業を配線図や施工図を見て行う。作業内容は電灯回路や動力制御回路をケーブル工事、合成樹脂管工事、PF管工事、金属管工事等によって行い作業板に取り付けるものと、フォルトファイディングテストと言われる故障診断技術を競うもので、具体的には制御回路を模擬した回路中に予め故障個所を作った模擬盤で回路等の計測器によって故障個所と故障原因を解明する課題である。

 この故障診断は複雑な回路を短時間で解明する課題のため、技能のみならず現場に精通した技術的な知識が必要である。

 国際大会では作業時間も約4倍であることから作業内容もかなり複雑となる。特に、電灯回路や動力回路では制御盤(金属箱)の加工に至る迄の作業もあり、フォルトファインデングテストでは、一工場の生産システムや、小規模な病院設備そのものを模擬した内容が出題されている。

 従って、国際大会に出場する場合、事前にかなりの特別な訓練も必要となる。

大会の状況

写真1〜2は技能五輪全国大会の風景
3〜4は技能五輪国際大会の風景
 ネオン工事業界においても、若手技能者の育成と技能向上を目指して、この様な国際的な競技も検討する必要があると考える。

静岡大会’99写真 表彰式写真 選手団写真 国際大会CNC施盤職種競技 写真
1.技能五輪全国大会会場入り口(静岡大会’99) 2.技能五輪全国大会表彰式風景 3.技能五輪国際大会日本選手団 4.国際大会CNC施盤職種競技風景

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