講演より

関東ネオン業協同組合秋季経営セミナー(H16.10.26)より
屋外広告の今後と我々の進むべき道(V)
武山良三氏
国立高岡短期大学産業デザイン学科 教授
SDAサインデザイン協会常任理事

インターネットでマーケティング

 社員一人一人がとにかく新しい広告物について何らかの提案をして、商売に結び付けていくということをしなきゃいけないわけですが、私がまずお勧めしているのは、まず知ること。これがないと正しい判断はありえません。例えば大手広告代理店がマーケティングという手法を使う。リサーチをかけたり、ユーザーアンケートをしたり調査したりして来年の流行や、今後10年のトレンドはこんな感じですよと組み立てていくわけです。資本力のない人は見よう見真似で大手の真似をしたり、デザイン賞でトップとった作品をみて、なるほどと思って追従するという形だと思うんですが、そういうことはインターネットを使うとかなりのことができる。この手法はいわゆる大手広告代理店が実際に使ってます。ということは、これをやる限りは大手代理店さんには勝てないということです。インターネットでやる、これはどちらかというと社会的学習に近いところがあるんです。机の前に座ってるだけでデータが取れる。これも大事なポイントなんですが、一方で体験的学習というものが必要で、これがマーケティング調査の手法としてあるタウンウォッチング法です。要するにいつもの街、いつもの生活をちゃんと見るということなんです。こんな金のかからないマーケティング方法はないわけで、これこそが私のお勧めする手法です。

タウンウォッチング
 言葉にしろ色にしろ子供の頃にいろんなネタを仕入れて自分の知識に定着していくのですが、街も一緒なんですよ。ところが、皆さん小学校入ってからずーっと社会的学習ばっかりしてる。街にある生きた情報をカチッととるテクニックが退化しかけてるんですよ。そんなものから情報が取れないと思っている人だっているくらい。それはぜんぜん違うんです。昔とった杵柄じゃないですけれども、タウンウォッチング法を皆さん自身が身につけて欲しいんです。

ショールームが教材に
 これはすごい力です。具体的にどんなことをしたらいいかというと、これは先ほどのメーカーでもやりましたが、ショールームの比較をやりなさいという指令を出してレポート提出させました。ショールームというのはメーカーが最新のマーケティングデータに基づいて、なんとか売りたいという意志表現の場なんです。そこにはメーカー、広告代理店のノウハウが凝縮されてます。
 とりあえずテレビ CMしてる車、最近は日産が大量に新しい車を投入しました。そういう時はその宣伝に呼応したディスプレイをしています。それから販促ツールがあります。奥さん、子供さん連れていってください。奥さんは粗品でもらえるティッシュボックス一つでも喜びます。うちのおかあちゃん、なんやティッシュ一個だけでもものすごい喜んでるわと。それがマーケティングなんですよ。ティッシュそんなもんどうでもええやんかと思われるでしょうが、奥さま連中はティッシュ一個で、わざわざ遠くのガソリンスタンドへ行くんですよ。
 私はフェアレディZの発売時にショールームへ行ったんですが、Zのプレミアムビデオテープ、かっこいいですよ。これ今教材で使っています。「これは君達、最新のビデオプレゼンテーションだよ」と、教材にできるんです。また、カタログ見てください。インターネットのアドレス載ってます。インターネット見てください。どんなマーケティングしてますか?車だけ売ってませんよね、今、車のショールームで何売ったらいいでしょう?タイヤ、カー用品、子供コーナーやコーヒーサービス、携帯電話なんてもうあたりまえですね。それから保険。そういう関連したものを売ってるわけです。それから例えばトヨタに行くと、ネッツというチャンネルやってますね。いろんなところにネッツがありますがサービスレベルが違います。そういうことを一個一個チェックするとものすごい勉強になりますよ。車のショールームをちょこちょこっと見て歩くだけでどれだけたくさんそこに広告物を考えるヒントがあるか。それをヒントと思うかどうかは皆さんなんですよ。
 パーティー効果ってご存知ですか?誰かがしゃべっている中に自分の名前がチラッと出ると、ピコーンと耳がダンボになりますね。ネオンという言葉に興味があるので向こうの方でしゃべってても、聞こえるんですよ。人間というのは自分の興味のあることにはすごい敏感になるんです。興味がある、ということを頭においているかどうかで差がでるんですよ。
 だから自分はタウンウォッチング法でいろんな事を仕入れてやろうと思って、自分なりにキーワードを設定してアンテナを張ってやる。ネオンで最近インターネットでなんか面白そうなこと、ディーラーがなんかやってるなと考えている。そうするとヒットする。何気なくテレビCMを見ていてもヒットするんですよ。要するにヒットするポイントを作ることが重要で、このことはユーザーにも同じ事が言えます。消費者は何にヒットしようとしてるんだろう、それがわかれば広告主のメッセージを正確に伝えることができるんです。

メディア計画にDEC活用
 広告主と消費者を結ぶところにメディア、媒体があるわけです。媒体を支えているのが皆さんのような業者ですね。広告主がメディアを通して何らかのメッセージを消費者に与えると、それを以ってこちらが購買するというような行為をして両者の関係が成り立つ。業者というのはあくまで真ん中の仲立ちをしているということですね。そうすると広告主が何を売ろうとしているかという事を正しく理解する。消費者が何に興味があるかという事を理解する。それで両者に関係を成立させるためのヒットポイント、今消費者はこういうことをさせたらカーンと反応しますよ、と。そういうことを含めたメディア計画、広告計画をしなければならないと思います。
 逆にいうと、皆さんは広告主に対して消費者がどうだからこのメディアが最適です、という事を説明しなければならないでしょう。あるいは、消費者に対してはどういうような説明をするんでしょうか。そういうようなポイントを今まで十分考えてこられなかったんじゃないかなと思うんですよ。ネオン業界ではDECという非常に立派な調査レポートを出されてるんですが、十分活用できてないんじゃないかなと思うんです。これもやっぱり、自分たちでそれを使おうという気がないから活用できないんですよ。だけどやっぱり説得する材料必要なんですよ。その一つのパターンをDECは示してくれてる。ですからそれを現実の商店街レベルや、例えば東京の渋谷、そういうところで活用するにはどうしたらいいか。DECはアメリカからきてるわけですからそのままではなかなかうまくいかないかもしれませんね。だけど自分たちが説明しやすい方法としてこういうものを使ったらどういうことがありえるのか。そういうことを考えるべきだと思うんです。  (続く)

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