特別報告

 

ラスベガス視察

第6回グローバルサインフォーラム出席

  事務局長 加藤保弥


 2005年の全ネ協「ISAサインエキスポ視察旅行」は、昨年に引き続き社団法人日本サインデザイン協会(SDA)との共催で実施され、参加者は全ネ協13名、SDA14名、合計27名と近年稀にみる大人数となりました。
 今回のエキスポ参加総人数は21,777人で、昨年のオーランド大会参加人数17,012人から30%近くの増加で、前年に続き新記録を達成しました。出展者数582社、展示ブース数は1,647小間で、いずれも前年を10%上回る盛況でした。また、例年評判のセミナー参加者も合計3,710名で前年から78%の増加を見ました。
 世界の屋外広告業者代表が一堂に会する恒例のグローバルサインフォーラムは、第6回目の開催となり、日本からは視察団以外の参加者を含め5名が出席しました。
 エキスポの内容につきましては別掲諸報告を参照頂くとして、以下グローバルサインフォーラムの概要を報告します。


第6回グローバルサインフォーラム
開催日時: 2005年4月1日(金)16:00〜17:00
場所: 米国ネバダ州ラスベガス市 マンダレイ・ベイ・ホテル・コンベンションセンター
参加者: 世界8ヶ国(米国、カナダ、コロンビア、日本、オランダ、スペイン、スイス、ガーナ)から26名参加、日本から大戸邦男(全ネ協評議員)、岩波智代子(全ネ協関東甲信越支部・SDA)、乙守典厚(全ネ協関西支部・SDA)、前田英幸(SDA)の諸氏と筆者が出席。

開会
 新任のISA事務局長ロリ・アンダソン女史の歓迎挨拶のあと、国際委員長ニコラス・ピアースISA理事(英国)が本年欠席とのことで、カナダ・アクメネオンサイン社のラリー・カットン氏が議長席についた。

各国状況報告
<日本>
2004年は、不況続きの日本経済が4年ぶりに1.4%のプラス成長になったことを背景に、日本の広告費も前年比3.0%のプラス、わが屋外広告業界も前年比101.9と8年ぶりに増勢に転じた。2005年も景気回復に伴い引き続いての上昇が期待される。一方、屋外広告物法が31年ぶりに改正され、屋外広告業が届出制から登録制となった。
<コロンビア>
看板に対する政府の規制は強まる一方である。特に照明に対する規制強化に対してはロビー活動などで巻き返しを図っている。
<カナダ>
地域によって規制が強くなってきている。IT技術の発達でより洗練された看板が出現している一方、熟練技能者が少なくなってきている。2004年はハリケーン、雪などの大きな被害がなく、経済は過去2年間で5%程度の上昇。銀行、金融機関のロゴ変更など特需があったが、今年は期待できず、売上げはやや減少するのではないか。
<ガーナ>
アフリカのサイン業は大きな可能性を秘めている。カカオの国際価格低迷と主要輸入品である原油価格の高騰で経済は厳しい。
<スペイン>
広告物関連の法律は国で定められているが、実際の規制は17の地域ごとの条例で行われている。サイン業は、各地域で規制内容、労働時間、ビジネス行動がまちまちであるという困難を抱えている。
<オランダ>
状況は非常に厳しい。製品、特にプリント関係が安値に次ぐ安値の出現で競争が激化している。EU統合で他国からの熟練労働者が低賃金で業界に入り込んできて、「西部の無法地帯」の様相を呈している。電飾サイン業は部品価格の低下で良くなってきている。規制は音に対するものや光、明るさに関するものなど種々様々、それも各都市でテンデンバラバラで、全国展開の業者は困っている。地方行政機関の知識不足と不透明な規制内容に対して業界のPRが必要。
<スイス>
銀行関係を除く一般経済は0.5〜0.6%と低調。EU本格化で業界の競争は激化している。看板に対してはダークスカイ運動を始め、政府が「醜い」看板を規制するとか、更には正当な権限を持たない一般人までもが色々なことを発言する有様で、とにかく看板を抑えよう抑えようとする動きが強い。
<米国>
2001年の9/11以後03年まで芳しくなかったが、それ以降経済の好調を背景にビジネスは順調である。規制面ではゾーニング制が拡大し、数百から数千のゾーニングが生まれてきている。中小企業なくして国の発展はなく、サインの価値は不変である。「表現の自由」への制限は戒めるべきで、官庁都市計画担当者や議員に引き続き働きかけを続ける必要がある。一方、プラスティック、LED、デジタル技術の目覚しい進歩はサイン業界に好影響を与えている。

ダークスカイ運動拡大に関する各国からの状況報告、その他自由討議
スティーヴ・キーファー氏(2000年度ISA会長)
この運動はもともと天文学者、天体観測同好者を中心に米国アリゾナ州ツソンで始まった。現在、オーストラリアと欧州で盛んになっており、お互いが影響しあって運動を盛り上げている感がある。業界に悪影響を及ぼさないよう、これからも十分注意を払う必要がある。
<日本>
日本では2002年頃に動きがあったが、その後目立った活動は見られない。当時から全ネ協は当局に屋外広告の重要性を訴える一方、光害関係会合に出席するなどしてわれわれの立場を明らかにする努力を続けている。
<コロンビア>
看板規制は強いものの、製造に対する規制は緩い。経済はGDP年率4%程度。ブラジル、ベネズエラも好調である。環境に対する政府の姿勢は厳しい。ダークスカイ運動に対してはISAで対抗宣言のようなものを出してはどうか。
<ガーナ>
政府への業界の働きかけが必要。もっともガーナのダークスカイ運動はそれほどでもない。
<オランダ>
現在の環境の中でサイン業者は立派に生きている。社会へのPR活動はこれからも重要である。
<スペイン>
業界に新規に入ろうとする人材、会社が減少傾向にあることが心配である。
<カナダ>
自分自身は、最近のダークスカイについてあまり知らない。むしろ、環境関連で、廃棄物処理が話題になりつつあることに注目している。
<スイス>
4年前から業界で教育プログラムをスタートさせた。サイン業者が中心になって、国際規格(UL,USS,IECなど)についてのセミナーなどを開いている。ダークスカイについてはわれわれもウェブサイトや講演会などで対抗PRをすべきである。
ラリー・カットン氏(議長)
ダークスカイ問題は、われわれよりも照明器具業界の方がもっと切実である筈だ。
スティーヴ・キーファー氏(2000年度ISA会長)
他にも、水銀処理、溶剤(エキスポ会場でも臭いが充満している)、更にエネルギー消費など、より重要な問題がある。

各国業界指標の配布
 各国代表から収集したデータが纏っていないので、後日、事務局よりメールにて配布する。

ISA会員研修旅行
 事務局から、本年はフランス研修旅行として5月14日から21日まで、パリ、レンヌ、ナント等を巡り、各地サイン業者、商工会議所等を訪問、ノルマンディでオマハビーチを訪れるので参加希望者はISA HPで申し込むように、との案内があった。

閉会
 ロリ・アンダソン女史(ISA事務局長)の「このように世界の屋外広告業者が一堂に会して共通の問題点を話し合える団体はISAをおいて他にはない。これからも、是非皆様のご支援を願いたい。」との挨拶で会議は終了。レセプションに移り、和やかなうちに午後6時30分閉会となった。

 

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