ネオンストーリー

 
  「理想の死に方」より 走り続ける
安藤忠雄 文藝春秋 05年1月号

 瀬戸内海の小島、直島でつくった現代美術館に、アメリカの現代美術作家ブルース・ナウマンの『100 Live and Die(100生きて死ね)』がある。
 「SLEEP AND LIVE,THANK AND DIE,……,RUN AND DIE,THANK AND LIVE,……」
 ネオン管で「生きろ」「死ね」という動詞を含む100の言葉を並べ、その点滅を繰り返すという、前衛的な作品だ。その前で足を止めた人は、誰しも自身の内の生と死の意味を問う。
 この美しく、コンセプチュアルなオブジェを前に、私は<生>ある間、全ての瞬間を等価に、全力で生き抜けというメッセージを思った。
 慌ただしい日々の中で、<自身の死に様>を考える時間はない。現在抱えている仕事を完遂するのと、次の仕事を考えることで、常に頭が一杯なのが正直なところだ。<死に様>と聞いて唯一心に浮かんだのが、上述のナウマンの作品である。

 

 
 

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