点滅希

 
 蟻  
    

 出窓の床を二ミリ程の蟻が数匹右往左往していた。初夏の正午前のこと。暫くすると百匹余りに。出窓の敷居の中心を二手に分かれ、行ったり来たり。よく見ると、孫が食べ残した大豆粒ほどのチョコを舐めては交代していた。床にへばりついているので、引きずって帰れないらしい。脇目も振らず、みな生き生きと機敏に活動していた。作業が終わると嘘のように消えていた。延べ二千人役……?
 その数日後、協会のツアーで北京へ行った。先ず万里の長城を観光した。長城へつながる細い坂道を、まるでアリンコのように人が登ったり降りたり。それにしても長城は驚異に価する。数千キロもどうやって造ったのであろうか、太古のロマンがひしひしと蘇る。恐らく六億人役のアリンコ工法であったに違いない。
 それに引き替え、小生は何の取り柄もない。ネオン一筋五十年、とうそぶいてみても所詮は蟻一匹。頑張れ!

(忠)

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