メッセージ
 行政が今なすべきことは 
 関東甲信越支部 アオイネオン(株) 横山 巖

 昨今の我が国では、許し難い悲惨な事件、不正事件などが際限なく続いています。解決に結びつく方策には何があるでしょう。
 例えば飲酒運転の撲滅には「国民の良識への期待」という考え方も否定はしませんが、先ずは厳罰をもって対処するべきです。
 私たちサイン業界に目を向けますと、やはり同様の思いを感じざるを得ません。法令違反は日常茶飯事、目立つことだけが優先され、見かけだけの手抜き工事が蔓延しています。
 幾度となく繰り返されてきた屋上屋を架す条例改正、そして法改正。これで都市景観が改善され、サイン業界が浄化されたでしょうか。残念ながら取締りも処罰も実行されていないのですから、どんな規制も意味を成しません。
 そしてまた条例改正で規制内容を更に強化するという繰り返しです。正直者だけが馬鹿を見て、街の景観は変わらず何らの改善も実現していません。規則を作るのには熱心で、守らせる努力はしないのが行政です。

京都市の新たな規制案
 京都市の新たな屋外広告物規制案が話題になっています。その特徴は市内全域で屋上広告と点滅を一律に禁止するものです。世界に誇る古都の景観を守るという理想は素晴らしいことで全く異論はありません。しかし区域を分かたず全面禁止とするのは、商業地域における経済活動を無視したもので極めて問題です。
 京都市が先ずやるべきことは、取締りと強制撤去、そして処罰です。そのために必要ならば条例改正を行うことです。現状に於いて野放しの違反広告を全て排除して、それを成し遂げた上で、そのときの景観の実態を見てもらいたいものです。
 更なる規制強化の必要を感じさせない、十分に落ち着いた景観が眼前に広がっているに違いありません。
 企業の社会的責任が厳しく問われる今日ですが、サイン業界、広告主の中にはこの意識が欠落した人たちが少なからず存在します。
 行政は厳罰をもって違法業者を駆逐するとともに、広告主への処罰も実行すべきです。取締りのコストに見合う高額な罰金を取ればよいのであり、動かない行政は怠慢と言わざるを得ません。

屋外広告業登録制度の見直しを
 また、行政は屋外広告業登録制度の見直し、或いは手続き簡素化を考えるべきです。
 建設業では自社の所在地で取得したひとつの許可があれば、全国どこでも工事ができます。ところが、屋外広告業では全国で仕事をする為に100近い自治体各々に極めて煩雑な登録手続きが必要になります。
 こうした金集めの制度作りには行政は実に熱心でありほとほと感心します。これとて、取締りが無ければどれほどの業者が守ることか。
 全国を車で旅するのに100枚も免許証が必要だったらどうしますか。しかも全てに更新手続きが必要で高額な費用がかかるとしたら。この屋外広告業登録制度は稀に見る悪法であったと思います。
 美しい都市景観の創出を目指すために、我々屋外広告業者の為すべきこと、改めるべきことは多々あります。環境を守り、社会に認められる仕事をすること、そして行政との円満な関係構築も必須であります。
 このように行政批判を述べることは苦渋の極みでありますが、業界の一員として曲げられない考えなのです。明るい美しい日本で、価値あるサイン造りをしていきたいと心から思っています。

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