World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.139  舟形屋根の家
舟形屋根の家
 インドネシアは一万数千もの島々からなり、その総面積は日本の5倍にもなるというからびっくりした。文化の多様性もかなりのものだ。この国の観光写真でよく見かける舟形の屋根をした珍しい建物はインドネシアならどこでも見られるのかと思っていたら、スラウェシ島のタナ・トラジャという地方だけに見られる独特のものだった。
  実際に行って見れば屋根ばかりか全体が装飾的で興味深い。
  この地の人々の先祖は中国から船で渡ってきたそうで、その故事を忘れないように屋根の形に船を表したとのこと。この家を使うのは一族の集会のときと葬式のときに限られ、普段はその裏にある住居で生活する。
妻側の軒下正面に水牛の頭部が据えられ、その上にはデフォルメした鶏の頭部、軒柱には水牛の角がいくつも飾られている。その上板張りの外壁が装飾文様で埋め尽くされている。この様式の家をトンコナンと呼ぶが、これだけの家を建てられる財力の豊かさがしのばれる。
  観光名所としてもっと注目されるべきと思うものの、島の空港からここまでバスで丸一日、往復と観光で三日間もかかるから容易ではない。
 





2013 Copyright (c) Japan Sign Association