VOL.37 アンバランスはニューヨークの活力?

 パーティドレスで着飾った美女とジーンズにTシヤツのヒスパニック青年が手を組んで歩く。ピカピカのリムジンの側を乞食が横切る。人混みを分けてミニコンポを片手にガンガン音楽を流しながらステップを切って歩く黒人グルーブ。人種の坩堝、富と貧困が同居するニューヨークでは「自分は自分、人は人」なんでもアリで気にしない。この自由さがニューヨークの活力なのだろう。
 マンハッタンのど真中で写真の作業風景にお目にかかってビックリ。アルミ梯子とパイプを組み合わせた手製のゴンドラを布ローブで吊り下げ、滑車で操作。しかも作業員はノーヘルメットで昼日中、ハネ出し養生どころか路上には防護棚も見えない。訴訟王国のお国柄、事故でも起きたらどう始末するのやらと、こちらの方が心配になってきた。
 アメリカのサイン工事といえば、壮大なスケールの工場で製作されたサインボードを大型のトレーラーが現場に運搬、レッカー車とバケット車が一発で取り付け完了というシーンばかり想像していたが、そうとばかりは限らないようだ。こんな前世紀から抜け出てきたような意外な光景に「当局の安全管理指導はどうなっておるのか」と心を巡らす一方、これがアメリカのバイタリティーなのかとおかしな感心をしたりした。
 





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