World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.63  ブエノスアイレスの パナソニックネオン

 バンドネオンなる楽器名称の由来は知る由もないが、明るくつややかな音の響きはネオンが照射する透明な光と似ている。そして何よりも、醸し出す凛としたセクシャリティーが共通する。

 そのバンドネオンの放列が奏でるクライマックスを最後に本場のコンチネンタルタンゴショーがはねたのは、夜中の一二時。それからホテルに戻ったのが一二時半。明日の夕刻はもうペルーに向かうから、この都市のネオン状況を確認するのは今夜しかない。どうかまだ点灯していますようにと、カメラを肩に祈るような気持ちで目抜き通りへと向かった。まるで広場のようにだだっ広い通りの向こうに、ナショナルのパナソニック・ネオンサインが見えたときはホッとした。

 広告戦略の見直しで東京のナショナルネオン塔はもうほとんど姿を消したというのに、ここブエノスアイレスでは健在で、しかも円盤の重なりが点滅するアート感覚の力作であった。

 訪問した8月は、ここでは真冬のシーズン。同じ壁面のスプライトの白色ネオンに、現在協会が取り組み中の「黒化」が顕著で、この現象が万国共通であることを確認した。

 ここのネオンサインは数は多くないものの、通りの広さに応じた大スケールに圧倒された。

 





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