World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.73  革命の広場見下す ジョニー・ウォーカー
革命の広場見下す ジョニー・ウォーカー

 ルーマニアといえばチャウセスク政権転覆にかかわる流血革命がいまだ記憶に深い。
二十世紀初頭には「バルカンのパリ」と称えられたブカレストの美しい街並みは、チャウセスクの独善によって徹底的に改変され、いまは見ることは出来ない。
 そのチャウセスク大統領がバルコニーから最後の演説をし、市民に総スカンを食った後、屋上のヘリコプターで逃走したという歴史的建物、旧共産党本部は街の中心部にあった。前面の広場は市民と治安部隊との銃撃戦の舞台となり、いまは革命広場と名付けられている。共和国宮殿や宮廷劇場、大学図書館が周りを取り囲みひっそりとしている。建物に残された銃弾の跡だけが貴重な歴史的事件を物語っていた。
 その一角に建つ古典調のビルに取り付いた大きなジョニー・ウォーカーの壁面サインがその後の資本主義経済を象徴するかのように晴れやかに見えた。
 ルーマニアは革命後も共産政権が緒を引き、民主政権が誕生したのは96年になってからのこと。街では経済の立ち遅れが目立ち、屋外サインにも見るべきものは少なかった。しかし、首都を離れた美しい自然と、昔ながらの民家の佇まいや素朴な村人の生活ぶりがこの国の素晴らしさを伝えていた。

 





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