World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.80  カブトムシのグリーン・キャブ
カブトムシのグリーン・キャブ

 もう製造中止となり、日本で見かけることも少なくなったフォルクスワーゲンのカブトムシ(点ルビ)が、驚いたことにメキシコ・シティではバンバン走っていた。聞けば、メキシコだけは世界で唯一いまもこの車を造っているとのこと。カブトムシが多いわけだ。それもグリーン色がほとんどで、その全てがタクシーだった。つまりイエロー・キャブならぬグリーン・キャブ。おなじみのユニークな形だから観光スポットにたくさんたむろしているところなど壮観である。
 市では条例によって流しのタクシーは全てカブトムシとし、色もグリーンに統一しているとのこと。しかし、この車は2ドアだから客を乗せるにはずいぶんと無理がある。そのため助手席は取っ払ってあり、客はそこを通って後ろの座席に座るそうだ。しかもシートは狭いし、荷物スペースもない。そうまでしてカブトムシに肩入れするのは工場の温存策からだろう。
 もっとも、この工場もいよいよ製造を止めることが決定した。以後韓国メーカー「現代」(ルビ・ヒュンダイ)の車になり、色も赤に変わる。それがちらほら街に出始めている。新旧2台のタクシーが偶然隣り合ったのがこの写真である。2台見比べるとやはりカブトムシの方がかっこいい。
 流しのタクシーは居直り強盗になる恐れありとのことで、乗ってみることは見合わせた。

 





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