面白ブックレビュー

 
「路上観察学入門」
著者:赤瀬川原平、藤森昭信、南伸坊 発行:筑摩書房
 サイン周辺をナリワイとする立場からすると、ふつうはこれらをいかに、例えばわかりやすいか、正確か、魅力的か、安全かについて眺めるところ、著者らはまったく違った角度から眺める。彼らの見出そうとする「物の発するサイン」からは、まず実用性が度外視される。さらに意図もである。ではどういった物なのか。
 ある者はマンホールの蓋をひたすら集め(撮影し)て、マークや管理する事業体を調べ、それぞれの蓋の歴史を推理する。ある者はトマソン(不動産に付いている無用の長物。開閉できない扉や、上がった先に何もない階段等)を見つけ、記録・報告し、その不可解さを味わう。またある者はハリガミや看板の、メッセージではなく「面白さ」「ずれ」を探す…。誰もが見慣れたありきたりの路上の、まったく違った側面に目が行くようになる本である。
migi


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