2000年 年頭所感

新しい世紀に向け 再なる発展をめざす
社団法人 全日本ネオン協会会長 廣邊裕二
 

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年の日本経済は、各種の景気対策による政策効果が浸透し、緩やかな改善が続きましたが、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況でした。しかしながら、本年は、総額十八兆円にのぼる経済新生対策の効果によって、日本経済は低成長ながらも確実な安定成長に転じることが出来るものと思います。

 広告業界全体としては、二年続きの前年割れでありましたが、下期にいたって広告費支出の回復が感じられ、本年は上り基調で推移するであろうと予想されているところであります。

 我々の業界は、前年に比べ受注の減少が下げ止まり、回復の兆しが見られるようになりましたが、受注単価の引き下げ圧力がなお厳しく、収益の悪化につながるという悪循環の状況でありました。先行きの見通しについては、多くのものが本年の回復を見込んでるものの、まだ、予断を許さない状況であると判断しております。しかし、本年は新しい世紀を迎える、リストラ総仕上げの年であり、産業・経済界の構造改革と業態刷新に関連する新しい需要が活況となり、予想以上に景気が回復することも考えられます。

 屋外広告業界は、戦後の経済復興から高度成長を経てバブル崩壊に至る五十年間、様々な時代の要請に応えてきました。そして、只今、多くの分野に改革を求める成熟化社会の下で、屋外広告物のあり方が問い直されているところであります。屋外広告物は経済活動を活性化すると同時に、都市や地域社会の機能と景観を構成する重要な役割を担っていますが、一部の広告物は残念ながら市民生活のアメニティを侵す要因にもなっています。この実態を厳しく認識し、組織をあげて、屋外広告業者としての使命を自覚し、ルールを遵守し、自らの資質を高めることが屋外広告業界の責務であると考えます。そして、これらを怠れば業界の将来はないものと受けとめるべきであります。

 一方、業界の発展をより確実なものにするためには、屋外広告物の費用対効果を明らかに示すことが必要であります。協会は、屋外広告業界の活性化を目指して、その広告効果性を解明する研究を約二年間にわたって実施し、「屋外広告効果調査レポート」として、その成果を発表しましたが、欧米に比べまだまだ研究は緒についたばかりであります。昨年九月、広告代理店を中心に屋外広告団体と事業社等に広く参加を頂き、屋外広告の効果測定に関する研究を一層推し進め、他のメディア・データと比較することが出来るデータの標準化を検討する「屋外広告調査フォーラム」が発足したところであります。このフォーラムの成果は日本の屋外広告業の確立につながるものであると考えております。

 ネオン業界は屋外広告の代表的なメディアとして、我国経済の成長と共に発展してまいりましたが、今後予想される、高度情報化社会と低成長経済に対応したメディアとして生き残るためには、新たな諸施策を速やかに実施することが求められています。

 「屋外広告物の景観との調和」と「屋外広告効果データの標準化」は最優先の課題でありますが、更には、ネオン業を再活性化するための「新技術・新材料の研究開発」と「企業体質の改善合理化の研究」をベースにした、同業間のネットワークを構築し「ネオン業界の分業化と専業化」を推進、あわせて異業種を含めた協業化の可能性を追及して、ネオン業界の構造改革を模索すべきと考えます。

 なお、昨年は、作業手順の不備による重大事故が多発し、社会問題となりましたが、業界はなお一層「広告物の信頼性と作業の安全性の確保」を推進し、製作者としての自己責任を徹底する運動を強化すべきと存じます。そして、次の時代を担う人材を養成するために「全国青年部会」を組織することも必要であります。

 新しい世紀に向け、更なる発展を目指し、協会活動に邁進する所存でありますので、皆様の一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、本年こそ明るい年になりますことを祈念いたします。

 

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