ネオンストーリー

 
  「電光の男」より その1
加藤 文著 文藝春秋 刊

皆川さんの頬が微かに弛んだ。
「島さんの考えるネオンサインとはどんなものですか」
「ビルの屋上にもう一階ぶん継ぎ足すほど大きくて  」
「それで?」
「誰も見たことのない美しさで一晩中輝いている。そんなネオンサインを、街を昼のように照らすくらいたくさんつくりたいのです」
「大きくて、たくさんですか」
「大きくて、たくさんですよ」
「なるほど。それなら悪くない」
 皆川が手を差し伸べてきた。血管がうっすらと浮き上がった肉の薄い皆川の掌を、寛太は握りしめた。生まれて初めてする握手だった。

 
 
 
  表紙STORY

 全国の桜の開花予想が聞かれ、何かほっとする気分にもなり、全てが跳躍し始める季節になります。
 今回の表紙は冬から春への『彩り』をイメージして表現しました。
 この時期、一年に一度、幼馴染みの友人数人と京都三条あたりにホテルを予約して、そこを拠点にゆったりとした気分で古都・京都の満開の夜桜を満喫しています。
 京都随一の桜の名所で約八五〇本の円山公園のライトアップされた夜桜は、見事の一言です。三十六峰を背に建つ清水寺の特別拝観ではソメイヨシノを中心に約一〇〇〇本の桜が有名で世界文化遺産にも指定される建物と桜が相まって、見事な景観を感じさせます。東の清水(きよみず)に対して西の御室(おむろ)も有名で仁和寺の御室桜と呼ばれています。
 平安神宮の枝垂れ桜は、艶やかな紅色の花をつけて、川端康成の『古都』、谷崎潤一郎の『細雪』にも登場してロマンを感じ壮観な美しさです。
 青空の下の桜もいいですが、月夜に咲く桜の『彩り』もまた、幻想的な魅力があり、夢中でカメラのシャッターを切っています。
 サインデザインに携わっている以上『色』には、こだわりと可能性を持ち続けたいと考えています。

 
 

Back

トップページへ



2004 Copyright (c) All Japan Neon-Sign Association